アキちゃんとノリキー8

このままの状態はいつまでも続く訳じゃなかった。

ある日、通院先の先生が言った。

このままだと、医療を放棄して、薬をのまないと言い出しかねない。

自分は治ったと言い張る。先生の経験から大多数の人が医療を拒否する状態になっていくんです。と。

それだけは避けたいので、入院出来る施設つきの病院の空きがあったら、すぐに紹介しますので、なんとかして、連れて行って下さい。って。

その日は1ヶ月が過ぎた頃突然やってきた。

キーパーソンの娘の携帯に

「病院の空きがでました。明日つれていけますか?紹介状はすぐに用意しておきます。」

え?明日?

娘はすぐさま、家族全員にLINEをおくり、指示を仰いだ。

でも、平日の日中はみんな仕事中だもの、明日の事の返事をしなければならなかった訳で。

それでも、娘はOKの返事をしたのでした。

夕方、みんなが情報を共有して、長女と次女が付き添いを申し出てくれた。勿論、アキちゃんには次女が電話で、診察してくれる先生がいるから、行きなさいって〇〇先生が紹介状を書いてくれるんだけど、行く?と尋ねた。

アキちゃんは自分の意思で行くと言ってくれた。

三女がその日の夜

「お母さん、ごめんなさい。お母さんの気持ちを聞かずに決めてしまった。お父さんはもう、帰って来ないんじゃないかなぁ。」って。

え、そうなんだ。

かわいそうにアキちゃん。ずーっと一緒だよ。って結婚したのに。

長女は「一生会え無い訳じゃ無いよ。落ち着いたら、面会に行こうね。」

娘達が最善を尽くして決めてくれた事にお母さんは従うよ。みんなありがとう。

一生で一番悲しい日々をやっとこらえている。

こんなはずじゃなかった。

アキちゃんごめんなさい。

あれから、一度も会えてない。涙が出て、毎日、夜は泣いた。

こんな日々がずーっと続くのだ。